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#241 桜の木造校舎と廃村、そして林道越前西部3号線
~ 桜の木造校舎と廃村、そして林道越前西部3号線 ~






 久しぶりに越前の林道(広域基幹林道越前西部線)を訪れた。前回の訪問が2007年なので、8年ぶりということになる。その時には越前西部3号線の途中から入り、南に向かって2号線、1号線を走った。ちなみに南から北に向かった場合、越前西部1号線は越前市中津原から越前町六呂師(22.3km)まで、2号線は越前市千合谷町から越前町下山中(14.9km)まで、3号線は越前町下山中から福井市大味町(27.2km)までとなり、総65km程にもなる。4号線もあるようだが、案内図が古いのかどうかわからないが、書かれてはいなかった。
 下の2枚の地図は、いずれも現地の案内地図を撮影したものだ。1号線のものは20年前のものなので、今はもう新しくなっているかもしれない。



1994年撮影




2007年撮影


 南北に連なる山々を縦断する形で走るこれらの林道、特に3号線は東西のそれぞれの山麓の集落からの支線が複雑につながっているので、いつもどこを走っているのかわからなくなり、どれが本線なのか迷いながらの走行となる。今回はその3号線から入り、その周辺を走ってみた。地図でいうと、ちょうど越前岬の東の山の中、という感じだ。下の地図は、現地の案内地図を撮影したもの。



2015年撮影


 これらの林道は、20年程前の訪問では一部未舗装部分も残っていたが、早々に全舗装されている。そういえば滋賀県を含め、周辺各地の林道の多くが閉鎖されたり舗装化されるようになってからは、極端に林道走行をしなくなってしまった。安全管理面や、設置者ならびに主たる利用者の目的や都合に合わせて舗装されるのは仕方の無いことなのだろう。しかし、それとともに失われるものも少なくないと感じる。また、多くの心無い車も入ってくることになり、ゴミや不法投棄・グレーチングなどの盗難などが増えているのは、林道に設置されている警告看板などを見ても明らかなようだ。林道を走っていて、実際にそういう現場を目にすることも珍しいことで無くなっている現実は、やはり悲しく感じる。



1994年の林道越前西部線




1994年の林道越前西部線


 北海道は幹線道路でも未舗装路がけっこう残っていて、何度かの旅の際に走行したりしたのだが、長らく未舗装路と離れていた自分にとっては、なにかとても懐かしい感覚だった。未舗装路では自然とスピードを落とすので、車窓から見える自然いっぱいの風景もじっくりと味わえるし、地面を踏みしめるタイヤの音や鳥のさえずりなども聞こえてくる。非日常のものにふれることができるのである。自分の場合、ダート走行の魅力はまさにそこにあり、そういった所に訪れることで多くのものを目にし、価値観も大いに変わったと感じている。といっても今回走行した林道は全舗装路なので、ダート走行時に感じるような心地よさより、もっぱら景観を楽しむ感じでの訪問だ。



2013年/北海道上士幌町の岩間温泉への林道


 前置きが長くなってしまったが、この日はまず、ある所を訪れた。これより10日ほど前に訪れた木造校舎だ。その時は、そこでの「木造校舎と桜」の風景を見たくて訪れたものの、桜が咲くにはまだ早すぎて見れず、今度こそはと思っての訪問だった。しかし急に暖かくなった春の10日間はちょっと長過ぎたようで、桜は満開が過ぎてかなり葉が多くなってしまっていた。それでもピンクが色鮮やかなしだれ桜が多くの花を咲かせており、春の雰囲気を思い切り醸し出してくれている。また校舎前に植えられているチューリップも開花前の蕾が大変美しく、これから迎えるであろう開花したチューリップと木造校舎の美しい風景をイメージさせてくれた。

















 前回の訪問時に校舎横の畑で作業されていた方の姿はこの日は無く、周辺にもほとんど人の姿はない。校舎前の道も時折車が通り過ぎるだけで、大変静かな山の中の木造校舎。通常は廃校後の校舎は、他用途での使用が無い限りどんどん荒れ果てていくものだが、ここは今も大変きれい。建物はもちろん、小さな校庭の桜や花壇のチューリップなども手入れされている。きちんとした管理無しではこの姿は保てないだろう・・など思いネットで調べてみると、やはり他用途での使用がされているようだった。実はこの校舎は、取り壊しが決まっていたという。しかしそれを惜しむ卒業生たちが立ち上がり、有効活用しながら今後の保存も実現していこうと、蛍鑑賞会や収穫祭、音楽会・・など様々な活動やイベントなどを行ない、それにより今もこうして美しい姿を見せてくれていたのだった。
 時代の流れとともに消えてゆく古いものの中には、その姿を見せてくれることで多くのことを語りかけてくれるようなものも少なくない。それら大半が失われていく中で、こうして残っていく背景には、やはり人々の温かい思いや行動する力があってこそというのを改めて感じる。













 木造校舎でしばしの時間をすごした後、山へ向かう。越前西部林道3号線とつながる峠に着き、少し撮影。前回の訪問では峠名の標示は無かったが、今回は「海山峠」の看板があった。文字通り、海も山も見える峠だということなのだろう。周辺の案内図を見てみると、このあたりは「県民いこいの森」として整備されているようで、本線を走っている限り道も整備されていて安心だ。杉林も少なく大変開けた感じで、新緑の春や秋の紅葉時には美しい景観となりそう。
 それでも車がほとんど通らず、一般道に比べ道も狭いので、こういう所に不慣れな人には不安に感じられるのかもしれない。峠でウロウロしている時に1台の車が来て「この道、どこへ行くんでしょうか・・」と不安げに声をかけられた。「こっちへ下ると集落に出ますよ」と返事すると安心されたようだが、60代くらいの女性2人のドライブだとこの静かすぎる雰囲気は、やはり少々心配だったようだ。













 前々回のこのコーナーでもご紹介した廃村にも行ってみることにした。
 3号線を北に進むと、再び峠に出る。今度は「花立峠」という標示がある。ここからの眺めはなかなかのもの。視界の良い時は白山が見えるというが、この日はうっすらという感じだった。もちろん海も見える。撮影したのが正午すぎだったのでかなり霞んでしまっているが、朝の澄んだ空気の中や、夕焼けで赤く染まる時のここからの景色は格別のものがあるだろう。そういうシーンを想像すると、泊まりがけで来てみたいなど思ったりする。













 廃村に向かうには、峠を少し行った先の支線に入り谷を下る。前々回のこのコーナーで、その廃村のことをうっすらとした記憶で「山を越えるまでの最奥の集落」など書いていたのだが、実際に行ってみると、山を越えて谷を降りた所にその集落はあった。舗装されているとはいえ、雪解け後の道は落石が多く、走行するには神経を使う。これまでの経験でいくと、スピードを上げて尖った石を踏んだり跳ね上げたりすると、やわなタイヤのサイドウォールはいとも簡単に切れてしまう。この日は、そのやわなオンロードタイヤでの走行だったので、慎重に走る。





 峠から一気に150m以上の標高差を下ると、やがてその集落跡が見えてきた。10年ほど前の訪問では蔵だけが残されていたのだが、今もその蔵は健在だった。かなりの傷みがありはするが、10年もの歳月とこの雪深い地の厳しい自然条件を考えると、こうして残っているのは本当に奇蹟とも思える。道向かいの石段を上ると、そこには墓石が一つあり、ここで生まれ育った人たちの魂が故郷の地に今も眠る。他に残っているのは積み上げられた石段や、倒壊した家屋のものと思われる朽ちた柱と瓦くらい。すぐ近くの小川には、源流に近い澄んだ水が流れ、美しく光る。小さな川だが、村在りし頃は生活の生命線だったことだろう。













 1974年~78年頃の空撮写真を見ると、数軒の家屋とその周辺の田畑が写されている。周りが山に囲まれた谷の、わずかな狭いスペースにあった集落だったということがよくわかり、改めてその生活の厳しさを感じるのである。



「国土地理院ホームページ」より







 再び来た道を戻り、しばらく越前西部林道3号線を走る。そしてわけがわからないまま分岐を曲がったりして走っているとやがて海岸線が見えてくるが、どこを走っているのかイマイチわからない。その海岸線をよく見ると洞穴が見える。なにかずっと以前に、そこを通ったことがあるような記憶があるが、今はどうも使われてはいないようである。帰宅後調べてみると「呼鳥門」という天然トンネルで、10数年前まで実際にトンネルとして使われていたそうだ。









 このあたりでは「熊出没注意!」の看板をよく見かけた。これまで一度だけ林道で熊と出合ったことがあるが、その時は車の中だったので何事も無く終わった。一番危険なのは、はち合わせてしまって熊が驚いて攻撃態勢に入った時だろう。そうならないように熊鈴などでこちらの存在を知らせるように気をつけてはいるが、それでも出合うことがあるかもしれない。そうなったらどうしよう・・など思って歩いていると、道に熊の糞らしきものを発見。この真っ黒な感じからすると、熊のものかもしれない。しかもまだ新しそうな感じだ。









 熊は自分にとってけっこう興味深い存在なので、行く先々で出会った人に熊のことを聞いたりする。北海道では「もう何十年も山登りしているが、未だ熊に出合ったことが無い。」という人もいれば「おるおる、普通におるよ。」中には「何度も出合って格闘もした。」という猛者もいた。先日、余呉町の半明で名古屋から来られた山菜採りの人に聞くと「そんなん、おらへんおらへん。大丈夫や」と言っていたが、地元の人に聞くと「あそこの木が折れてるやろ。あれは熊が折ったんや。朝方に見ることはあるな。」とのこと。つまり出合ったことの無い人は「おらへんで」と言うし、出合った経験のある人は「おるよ」というのだろう。でもこうして糞があったり目撃があったりなどからすると、確実に周りにいるのだから、こういった山での注意は怠るべきではないということなのだろう。









 また少し走ると見えてきたのが梨子ヶ平の千枚田の風景。案内板の説明によると、千枚田の名であるが、今ではその大半が越前水仙に転作されてしまったとある。米作りをしていた頃の夕暮れの水田の風景を見たかったなど思うが、一斉に咲く水仙の風景もそれはすごいものがあるだろう。ここでもオーナー制度があるようで、12月下旬にオーナー会員の一斉収穫がされるというから、咲き始めはその頃からのようだ。私が山里でよく見る水仙は3月頃から咲き始めるので、ずいぶんと開花時期が違うものだ。













 帰宅後、現地で見た行き先案内の標示「城有町」「八ツ俣町」「梨子ヶ平」などを元に地図で確認してみると、六所山を西に進んで海岸線まで出たことがわかった。途中で越前西部3号線を離れていたようである。地図で越前西部3号線を確認しようとしたのだが、略図では「なるほどー」と思ってそれを地形図に当てはめてみようと試みるものの、地形図ではたくさんの細い道が複雑に入り組んでいてやっぱりわからず・・。結局今回も、林道越前西部3号線は途中で訳が分からなくなってしまった。それでも分岐や支線が多いぶん、いろいろなものに出合えそうなので、細かく行き先など考えずに走ってみるのもおもしろいような気がする。また景観の良い所も多く、周囲の木々の緑も大いに楽しめるので、周辺のキャンプ場などで泊をとって、ゆっくりとまわるのもいいのかもしれない。













 距離にすれば短かいものの、桜と木造校舎、山里、峠からの山の風景、海、棚田などいろいろなものに出合うことができる林道越前西部3号線の周辺。地図などを見ると、この他にも様々な見所がありそうなので、またぜひ訪れてみたいものだ。

 など思っていても、訪れるのはまた8年後・・くらいになってしまうかな・・






http://www.geocities.jp/kondodoraibuiko_ne021/index.html
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【2015/05/10 12:01】 | 林道 | トラックバック(0) | page top↑
#218 小入谷林道(林道小入谷線)2012年6月
~小入谷林道(林道小入谷線)2012年6月~






滋賀県の高島市(旧・朽木村)から福井県小浜市へと抜ける峠越えの林道「小入谷林道」は、私の大好きな林道の一つだ。これまでに当サイトでも何度も書いているが、ここは林道そのものはもちろん、林道から見える山深い景色や明るく開けた景観、峠の風景さらに林道周辺の集落、木造校舎等々、本当に見所いっぱいで、滋賀県が全国に誇れる林道だったと思っている。事実他府県からの訪問者も多く、そういった人や車などもよく見かける。特に峠手前あたりからの林道の風景、山々の風景は美しく、季節によっては早朝に雲海が見れるということもあり多くの人が訪れる。また条件が良ければ、峠から福井県側に若狭の海を見渡すこともできる。未舗装林道の自然観溢れる景観が大好きなオフローダーとっては、まさに至福の場所といえるのだが、一昨年より一部舗装工事が始まって、その後も舗装化が進み、その進行状況が大いに気になるところだった。





一昨年の2010年夏に訪れた時はまだ舗装工事はされていなかったが、同年秋の訪問では途中の一部が舗装されていた。そして昨年春の訪問では、滋賀県側の林道起点から舗装が始まっており、着実に工事が進行していることが確認できた。この工事は、高島市が力を入れている‘高島トレイル’の、林道からのアプローチポイントの一つとして整備されているのであろうと思われるが、それを考えると全面舗装も時間の問題だ。多くの人が安全に訪れられるように、ということでは当然の流れとも考えられるが、やはり失うものも大きいのでは?と感じたりする。高島トレイルについては、その公式サイトがあるので、そちらを見ていただければ詳細がわかる。









ここを訪れたのは梅雨入り前の6月の初め、晴れてはいるが、何とも白みがかったモヤの多い日だった。いつものように滋賀県の「小入谷」集落からのアプローチを試みる。この集落は名前の通り谷にある集落だ。ずっと以前から小規模を保っている。林道を上って行き、高い所からこの集落を見おろして見ると、いかに山々の底のわずかな平地にある集落ということがよくわかる。林道起点はその村の奥にあり、集落から続く道は完全に舗装されている。起点には、平成の市町村大合併以前の、ここが朽木村であった頃に立てられた黄色い林道看板が今も健在。看板には「林道小入谷線」という正式名が記されている。

林道は起点からずっと舗装されており、そのまま味気なく進んで標高を上げていくことになる。舗装以前に、よく車を停めて写真撮影をしていた地点で降りては見たものの、アスファルトの道の風景は何とも絵にならない。道ばたで山野草が花を咲かせるようなスペースもなく、どこででも見られる道路の風景に変わってしまっている。結局、林道の風景はあきらめ、林道からの風景が美しく見える所まで車を走らせることになる。









そういえば未舗装の時と舗装後では、車のスピードがずいぶんと変わる。未舗装路は尖った石などでのパンクや、車体を路面に擦ったりすることに注意しなければならないので、当然、舗装時より慎重になりスピードを落とす。一方舗装路は、安心して車を走らせるのでスピードは上がる。さらに言えば、林道ファンの自分としては未舗装路の石や砂利を踏むタイヤの音もけっこう魅力的で、それを聞きながら進んだりするので、さらにスピードを落としての走行となる。遅くなるというのはなかなかいいもので、鳥の声が聞こえたり、普通なら見落としてしまいそうな道ばたや崖の斜面に咲いている野草の姿など、普段味わえないものを味わえたりする。そして何より安全運転になるのがいい。そう思うと、別に便利にならなくてもいいじゃないかという気持ちが、より強くなってくる。

余談になるが、今のSUV車の純正タイヤはオンロード用がはまっており、これはオフロードでは何とも頼りなく、いとも簡単にパンクする。私自身これまで3度林道でのパンクを経験しているが、いずれも純正のタイヤであった。もちろん慎重に運転した上でのことだ。尖った石は刃物のようにサイドウォールを切り裂くので、林道走行をする時は、高価な買い物になるがオフロードに対応したタイヤ装着が必須となる。タフさだけではなく、ぬかるみや砂利道でのグリップ等を考えると賢明な選択だ。また、林道の多くは携帯電話の圏外でJAFも呼べず、さらに平らな場所が少なく地面も不安定、そういう所でのタイヤ交換は甚だ危険でもある。そう考えるとオンロードタイヤでの走行は無謀とも言えるのである。

















話を戻す。舗装路をしばらく走り、いつものビューポイントにくる。崖下の道が舗装されていることで、そこからの小入谷の風景は、以前とは雰囲気がずいぶんと違って見える。上の比較写真は、2009年5月撮影の写真と2012年6月撮影のものを並べたものだ。林道走行が好きな自分としたら、未舗装路のむき出しの砂利道は違和感なく周りの風景にとけ込み、とても美しく感じる。しかし特に林道ファンでなければ、未舗装路はやはり危険を感じるものでメリットは何もなく、決して歓迎されるものではないのだろう。また、山登り愛好家などにすれば、林道自体がとてつもない自然破壊で、許されざる行為に映るのかもしれない。価値観の違う者、人それぞれということなのかもしれないが、やはりできる限り自然に近い形で残してほしいと感じる。





実際多くの車が気軽に入ってくることで、ゴミや不法投棄などは間違いなく増えるだろうし、山野草を無断で根こそぎとって持ち帰る者も出てくる。ここではないが、山菜採りの人に山や田畑が荒らされるというのは、今までに何度も聞いたことがある。この日も写真のようなゴミが捨てられているのをいくつか見た。缶詰の空き缶などは、間違いなくここの景色を見に来た者によるものだろう。完全舗装されると、こういったことはますます増えることは間違いない。舗装が安全面、管理面でどうしても必要なのかどうかわからないが、自然を壊し汚しているのは、外部から入ってくる人間だということを忘れてはならない。もちろんそんなことをしているのはごく一部の者なのであろうが、きれいだった河原や砂浜が、人が自由に入ってくるようになるとゴミで溢れかえるというシーンをこれまで嫌というほど見ていると、やはり不安になる。













など考えながら、いくつかのビューポイントでいつものように写真撮影をする。来る前は、モヤでかすんで下界がまったく見えない状態を心配したが、幸いモヤはさほど多くない。クリア感はないものの下界を十分に見ることができる。やはりここからの風景は広大で美しい。遠くの山々の重なるグラデーションは、ここがいかに山深い地であるかということを感じさせてくれ、つい見とれてしまう。そしてそこから小入谷の風景を見ると、改めて「小入谷」集落が、深い谷底にあることがわかる。深い山の底という感じだ。望遠レンズを使うと集落のバス停や駐車している車、そして人の姿までが確認できる。地図上の直線距離を測ってみると2.5kmほどなので、それほど遠くはない。肉眼でも集落の存在は十分に確認できる。おそらく昔の人たちも、峠越えのこの風景を見ることで、自らの位置を確認し安心したことだろう。













峠に近づくと舗装が終わり未舗装路へと変わる。なんだかホッとするが、未舗装路はもうわずかしか残っていない。おそらく1、2年の内には完全舗装されているだろう。残念ながらこの日は、福井県側の若狭の海はかすんでしまって、わずかに島の存在が確認できる程度だったが、それでも十分美しい。この島が一体何という島なのか以前から知りたかったのだが、未だにわからない。方向を正確に測り、地図で場所を確認するということも必要だと感じる。地図を見ると、この辺りには小浜湾の蒼島、世久見方面の烏辺島、常神岬方面の御神島、千島などの島があるのだが、方向から判断すると烏辺島、御神島、千島あたりか。もしご存知の方がおられたら、ぜひ教えていただきたいと思う。それにしても、峠を含めたこの辺りの風景は本当に美しい。













しばらく静かな峠でボーッとする。周辺は杉の植林が少ないため木々の緑も爽やかできれいだ。福井県側を見ると山腹にある集落「上根来」が見える。ここも過疎化が大変進行している集落だ。峠に目をやると、壊れかけた黄色の林道の看板に、ミラーが曲がってしまったカーブミラー。いずれも雪によるもので、この地域の積雪の凄まじさを物語る。以前はカーブミラーの支柱だけがあったのだが、その後補修され、また曲がってしまったようだ。黄色の林道看板も、もう何度も直されているようで2年前は普通にまっすぐ立っていた。これは看板だけではなくガードレールも然りで、福井側へと下る道のそれは、なんとも見事に波打った状態になってしまっている。その中で地蔵堂は健在であった。建て替えられてどれくらいになるのかわからないが、祠の裏には以前の残骸が残されていた。冬場は雪で完全に埋もれてしまうこの地蔵さん、何百年にも渡って人々に大事にされ続けているのだろう。





こういった自然の多い所に行くといつも感じることがある。できるだけ多くの人がこの風景を味わえることは良いことだと思うし、自分自身もその恩恵に大いにあずかっている。しかし何か線引きをする所が少し間違ってはいないか、と感じたりすることも多い。人間の自分本位で上から目線的なところが目につくのである。自然は人間の所有物ではなく地球のもの。保護されてそこにあるものではなく、元来普通にあるべきものだ。自然を大切に生きてきた人たちから学ぶことはもちろん、これまで自分たちが犯してきた過ちから学ぶことが必要であるのに、それができていない現実を今の社会に感じてならない。





この峠から見える、静かで美しい若狭の海、実は原発銀座とも呼ばれるほど原子力発電所の数が多い所(建設予定だったものも含むと15基)。もし過去最大級の災害がこの地で発生したとすれば、もはや「想定外」などのことばでは済まされない事態がそこには展開する。そして未来へのビジョン無きまま、間もなく、そのうちの大飯原発の稼働が再開されるのである。





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【2012/07/04 00:04】 | 林道 | page top↑
#206 鵜川村井林道で思うこと
~鵜川村井林道で思うこと~






前々回のこのコーナーでお伝えした小入谷林道、その時にも書いたが、もし滋賀県林道ランキングのようなものを作るとしたら、私の中で小入谷林道は文句無しのナンバーワンの未舗装林道だ。周囲の景観の美しさ、走る楽しさ、道としての存在感、距離・・どれをとっても文句はない。以前はこの小入谷林道のように、隣接県とを結ぶ未舗装林道が県内にもいくつかあったのだが、栃ノ木山中林道、国見林道、鳥越林道、安楽越え・・等々、次々と舗装され、自然に溢れたかつての景観を失ってしまっている。そうした中でこの小入谷林道は大変貴重な存在で、休日など訪れる人も少なくない。いろいろな雑誌などで紹介されているのも、その自然溢れた美しさゆえのものなのだろう。この先も今の状態が保たれることを祈るばかりである。









ところで今回の鵜川村井林道、上の2枚の写真のように以前は全面未舗装のなかなかワイルドな林道だった。旧地名で言うと滋賀県湖西地域の高島町と朽木村を結ぶ山越えの林道で、走っていてもおもしろく、このあたりを訪問した時は必ずと言っていいほど訪れていたものだった。琵琶湖岸近くの集落『鵜川』から出発し、名も無き峠を越えて下ってからは、ガリバー青少年旅行村のある『鹿ヶ瀬』あたりで一旦林道を離れる。そして美しい田園地帯を少し走り、『畑』の集落で再び林道に入って山頂近くに掘られたトンネルを抜けて朽木村の『村井』へと到る。走る面白さだけではなく、R161からR367へ抜けるルートとしてもけっこう便利だった。

実はこの林道、景観もなかなかのものなのである。『鵜川』周辺の段々畑に始まり、標高を上げると琵琶湖を臨むことができ、そこからちょうど対岸の沖島(近江八幡市)を見ることができる。この沖島、淡水湖に浮かぶ人の住む島として全国的にも珍しいそうだが、残念ながらまだ訪れたことはない。また夏にはマリンスポーツを楽しむ様子が、広がる湖面に豆粒のように見えたりもする。琵琶湖から吹き上げる風を感じながら、こういった琵琶湖の景観を味わうのもなかなかのものなのである。









琵琶湖の風景に別れを告げ更に進むと、今度は先程の琵琶湖とは反対方向に下り始め、『鹿ヶ瀬』『黒谷』などの山の集落が眼下に見えてくる。もろい岩肌が剥きだした山の斜面の独特の雰囲気と、田んぼの緑に囲まれた小さく見える集落の美しさは特徴的で、いかにも林道に来たという気持ちにさせてくれる。未舗装時は、これらの景観の美しさに加えて大小のゴロゴロした石が路面を覆ってスリルと迫力も味わうことができたのだが、今は残念ながらそれを味わうことはできない。









ここが舗装されて既にかなりの年数が過ぎている。もうスリルと迫力ある走りの楽しさを味わうことはできないが、それでも林道からの景観の美しさは今も健在で、訪れるたびに楽しませてくれる。また、林道からの景観の美しさだけではなく、起点周辺の風景も大変美しい。訪れたこの時は、集落の田んぼの稲の緑や周囲の山々などにしばし見入ってしまい、小一時間ほど写真撮影に没頭してしまった。周囲の景観だけを見ると、小入谷林道には及ばないまでも上位にランクされるのは間違いないところである。





そういえばこの林道の特徴的なものとして『畑』から『村井』の山越えのトンネルの存在がある。こういう所のトンネルとしてはけっこう立派なのだが、天井に設置されたライトはいつも消えていて、入り口から中をのぞいても真っ暗で先が見えない。通行止め??行き止まり??など、通る時はいつも不安になる。何か、中に入るなり奈落の底に落ちてしまいそうな、そんな感じの何とも不気味な雰囲気だ。まあこうこうとライトが点いていると、かえってこういう所では不気味なのかもしれないが、いずれにしてもマニアにとっては恰好の心霊スポットとなりそうな感じの所。またトンネル内のセンス無い落書きも興ざめだ。不法投棄同様、これも舗装化が生み出す功罪のうちの罪の一つなのだろう。どこかにアート気取りのようなものもあるのかもしれないが、そこには器物損壊行為以外の何ものも感じない。





小入谷林道と鵜川村井林道、いずれも本来は大変美しい道で、甲乙つげがたい魅力をそれぞれが持っていた。美しい景観は、どちらの林道も今なお健在。しかし走っていて得られる印象は時間の流れとともに両者で大きく変わってしまった。そしてこの二つの林道を比較すればするほど、小入谷林道の貴重さを再認識するのである。






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【2010/08/30 00:44】 | 林道 | page top↑
#204 夏の小入谷林道
~夏の小入谷林道~






大変むし暑い日が連日続く今年の夏。こういう時は風もほとんどなく空気もよどみ、まるで腐りかけて白く濁った水の水槽の底で生活しているような気分になる。遠くを見ると、山や空の景色も白くモヤがかかり、本来の緑や青の鮮やかさは全く感じられない。空気が流れない、そんな感じだ。そんな暑さにいいかげん嫌気がさしている時、2~3日ほどであるが風の強い日が続いた。こういう時は空気が動き、白くもやのかかったよどんだ風景は一変して、透明感のある色鮮やかな風景に変わる。山の緑、空の青、雲の白などが実に色鮮やかになるのである。仕事やら何やらで、なかなかこういう日に自由に動ける時は少ないのだが、先日タイミング良く、この澄んだ空気を感じる日に山に出かけることができた。

出かけたのは滋賀県高島市にある小入谷林道。滋賀県が全国に誇る??美しい林道である。峠を越えて滋賀から福井へ抜けることができ、周辺の集落も大変美しい。峠の雰囲気も最高で、条件がそろえば連なる山々だけではなく遠く若狭の海を臨むこともできる。これまでに何度も訪れているが、期待を裏切られたことは一度もない。そんな林道に、この澄んだ空気の日に訪れたらどういうことになるのか、高まる期待を胸に車を走らせる。





『小入谷』の集落を行き過ぎた所に林道起点がある。起点の看板には、この夏の豪雨のためか、上根来からは工事のため通り抜けができないと記されている。まあ、目的を峠までにしても十分ということで、気にせず進むことにした。午前中は雲が多く青空が見られなかった空も、強い風が雲を吹き飛ばしてくれたかのように、鮮やかな青空を随所に見せ始めている。随所というのが微妙なところで、白いモコモコとした雲もけっこうの面積を占めているのである。しかしそれがかえって良いようで、強すぎる日差しを弱めてくれたり、青の鮮やかさを引き立ててくれたり、それだけではなく雲のモコモコ感が大変美しく夏の爽やかさを強調してくれている。





日差しの陰がアクセントとなった乾いた路面は、一部雨の流れでえぐれた所もあるものの特に問題は無く、とがった落石にだけ注意をはらいながら走ればいいという感じだ。そこそこ標高を上げると下界が見渡せるようになってくる。そして期待していた空気の透明感は・・。





そこには下界の期待に違わぬ色鮮やかな山の風景が広がりを見せてくれていた。遠く『小入谷』の集落の川に架かる橋までがくっきりはっきりよくわかる。山々のディテールや遠く広がる山々の高圧線の鉄塔も確認できる。ちょうど電波状況の良くないアナログ放送がハイビジョン放送に変わったような、そんな感じだ。その風景に感動し、何度も車を停めて写真撮影をしながら、峠まで車を走らせる。夏のこの時期では、なかなか感じることのできない空気の透明感を味わう。そして峠。やはり、そこには思わずうなってしまう程の美しい景色が福井、滋賀両側に広がっていた。まず滋賀県側を見てみると、山々の底に『小入谷』集落、連なる山々の向こうに更に連なる山々、日の当たっている所と影になっている所の山の斜面は、まるで面取りデッサンのモチーフのようにわかりやすく面構成をしている。





そして福井県側を見てみる。これまでは判別できなかった島々もこの日は見える。若狭の海、連なる山々、そして『上根来』の集落、それらが上から順番に見える福井県側。「来てよかった」と思う瞬間だ。そのタイミングに感謝しながら思う存分写真を撮り、そして光が変わる夕日になるのを待つことにした。









峠に停めた車の中でしばらく仮眠。すると車のエンジン音が聞こえてくる。やってきたのは一台のオフロード車。気にせず仮眠をとっていると元気な声が聞こえてくる。男女二人ずつの若い人たちのグループのようで、声の主は、この峠からの風景に感嘆の声を上げる女の子たちの声。日頃なかなか見ることのない風景に感動しているようだ。この美しい峠からの風景、彼らの中にも印象的な風景として映っているようだ。なかなか日頃の生活の中では見れる景色ではない、きっとこの先も彼らの心の中に残るのではないだろうか。





外を見ると光も夕日の色に変わりつつあるので、車外に出て撮影を再開する。残念ながら真っ赤な夕日と言うわけにはいかなかったが、少し前の撮影時より更にパワーアップした風景に、「うーん」と思わず声が出る。先程までの一人静かな撮影とは違って、やや賑やかな雰囲気の中での撮影。しかしその美しさに浸るのに時間はかからなかい。撮影中にも時折聞こえる元気な声、その感嘆の声をあげていた若者たちの目に、この美しい風景が大切な自然として映ってくれているなら、この先もこういった自然は残されていくのかもしれない。そして、もっと多くの人たちがこういう景色を見て感動してくれるなら・・など考えたりするのである。





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【2010/08/14 14:17】 | 林道 | page top↑
#195 二つの林道(小入谷林道、御池川林道)からの景色
~二つの林道(小入谷林道、御池川林道)からの景色~






林道を好んで走るようになって、20年程になる。走り始めた頃は、舗装路でない所を走ることに何とも言えない心地よい刺激を感じたものだ。ガタガタ道の振動、ギャップを越えるときのつきあげ感、ラインを考えて走ることの面白さ、走りきることの満足感など、走ることで身体に受ける刺激への心地よさが中心で、景色をじっくりと味わうという感覚はまだそんなになかったような気がする。

景色を味わうようになったのは、実際に林道を何本か走って、「おぉ!」という、これまでに感じたことのないような自然の美しい風景がそこにあるということに気づいてからのこと。それに目覚めてからは、林道の景色にのめりこむことになる。白い路面、赤い土、ごろごろ転がっている石や岩、ガタガタの路面が作る陰影、道脇の木々の緑そして青い空と白い雲、それらが作り出す風景を実に美しく感じ始めた。また林道そのものの風景だけではなく、そこから見える(見下ろす)下界の風景がまた何とも美しく感じた。遠くに見える、重なる山々の美しいグラデーション。はるか下界に見える道や民家、海、川などの景色。そして野生の動物や季節を彩る植物たちとの出会いもあった。さらに静かな風景の中に響く風の音や獣や鳥たちの声、などなど魅力は尽きない。そういった中に自分が入った時、本当に幸せな気分になれたのである。









二本の林道からの風景を紹介したい。一つは滋賀県が誇る?小入谷林道。ここからの風景は、滋賀県側も福井県側も本当に美しい。訪れたこの時は天気はよかったものの、今ひとつ空気に透明感が感じられなかったので若狭の海がクッキリと見えることはなかったが、それでもそこに浮かぶ島々は確認できた。そして手前を見下ろすと、山々に埋もれてしまうかのような『上根来』の集落や牛舎跡などが見える。また峠付近からの風景は、先に書いた‘重なる山々のグラデーション’が見事で、バイクで訪れていた人の「おおー!」という声が、撮影していて聞こえてきたりした。夕日が赤くかわるのを待つと、また風景が変わってくる。紅葉の山々がオレンジに輝き、そこに走る林道が浮かび上がる。どれもが、下界では決して見られない風景だ。この日は、私と同じように林道からの風景をねらって写真撮影に訪れている人を何人か見かけた。同じ景色でも撮る人によってずいぶんと違ったものになるのだろうなぁ、など考えながら帰路につく。





二つ目の林道は、滋賀県の多賀町と東近江市にまたがる御池川林道。完全舗装されているので走ることの楽しさは感じないが、実は未舗装の支線の荒れた路面とそこからの風景がなかなかのもので、よく訪れる。この日もそれに期待しての訪問だった。しかし残念ながら下界は普通に晴れ間のある天気なのに、山に入ると雨。あたりは薄暗く、さらにガスに覆われていたため、支線からの下界の風景はそこからは全く味わうことはできなかった。





ガッカリとして本線に戻って下界に戻ろうと走っていると、わずかばかりの光が雲の間からさしているのが遠くに見えた。これなら下界の風景が見えるかも、とチャンスを求めて車を走らせると木々の間から下界が見える。そこからの景色に「おー!」と思わず声が出る。そこにはわずかな陽の光を浴びて黄金色に光る風景が広がっていた。上にはどんよりとした黒い雲。そのコントラストが不思議で美しい。琵琶湖も見えているはずなのだろうが、そこのところははっきりとしない。これは晴天時には決して見ることはできない風景。晴天の風景とはまた違った美しさで、このタイミングでしか見れない風景。あきらめの中の逆転の一発、そんな感じだ。こうして見れたことに心から感謝である。黒い雲がまた光を隠してしまわないうちにと、慌てて写真撮影をする。









対照的な天候の中での二つの林道の景色。どちらも違った美しさを与えてくれた。山を下りればまた元の世界へ戻ってしまう訳であるが、つかの間の別世界訪問は多いに心が癒される。これ無しには生きていけない、そんな毎日に感じてしまうのは少々悲しいが、これがあることは多いに幸せなことなのかもしれない。

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【2009/12/06 09:11】 | 林道 | page top↑
#193 坂下峠(神大滝林道)
~坂下峠(神大滝林道)~






久しぶりに、鈴鹿山脈南部を走る神大滝林道の坂下峠を訪れた。鈴鹿峠の西に位置し、滋賀県と三重県を結ぶ林道である。滋賀県側からは峠の少し手前までが舗装路となっているが、そこから先は自然にかえってしまっており、四輪ではどうもがいても峠まで行くことはできない。また、峠から三重県側は完全に山道状態となっている。また現在、滋賀県側の舗装路の部分も、道路両わきののび放題の植物や落石などがかなりひどく、その手の道を敢えて行こうとする者以外には決しておすすめはできないような状況である。この日も車の両サイドボディは、草や枝などで思いっきりこすられ、細かな擦り傷でいっぱいになってしまった。まあ、これも覚悟の上のことなので、自分の中ではけっこう納得なのではあるが・・。





坂下峠に初めて訪れたのは今から20数年前のことで、まだ‘山登り’という健康的なことをしていた頃。その時は、大原貯水池あたりに車を置き、そこから那須ヶ原山(800m)に登って尾根伝いに縦走して坂下峠へと至った。縦走路はやたらクマザサが多くて足下が滑りやすく、前も足元も見えないような状態で、何度も滑ったり転んだりしてにぎやかに歩いていたのを思い出す。今からは想像できないような、青く若かった時代だ。そういえばこの頃、低山登山に凝り、あちこち調べては登山計画を練っていたものだが、その時に見ていた登山用地図や本の林道や山の集落などの情報が、こうした道へ踏み入れることへの大きなきっかけとなったのは間違いの無いところ。

初めて訪れた時の坂下峠は何とも荒廃した感じの独特の雰囲気を持っていた。峠周辺は、路面が雨でえぐれたりして荒れてはいたものの、林道の道幅もあり、今とはかなり違った感じであったと記憶している。『近江の峠/伏木貞三著(白川書院)』という本に昭和45年頃と思われる峠周辺の写真が載っているが、そこには峠近くに停められた車が写っており、峠まで車で行けていたことがわかる。いつ頃から峠付近が荒れてしまって四輪の通行ができなくなったのかはわからないが、私が初めて訪れた20数年前は、今ほどではないにしても、もう四輪での通行は不可能な状態であった。今、そのあたりの自然にかえった山道には所々に当時を思わせる崩れた擁壁などが残っており、車道であった頃を偲ばせてくれる。









久々に訪れた坂下峠は、以前のままの大きくえぐられたようなその独特な雰囲気を残してくれていた。私が持っていた坂下峠のイメージというのは、正確には坂下峠周辺のイメージのことで、坂下峠そのものはその象徴的な風景の向こう側の山道の所を指すようである。早速峠地点に立ち、三重県側に広がる景色を見てみた。遠く遥かに伊勢平野、伊勢湾そしてその向こうの対岸も見渡すことができる。石油コンビナートなのだろうか、赤白に塗り分けられた鉄塔や円筒形の関連施設、沖の海には大型タンカーの姿なども見える。この静かな峠からは全く違ったにぎやかな風景が見えるのが、何か不思議な感じがする。塩馬越え(白馬越え)と呼ばれたその昔は、ここからはどんな風景が見えたのだろう。その風景はきっと、山賊を怖れながら裏街道を越えようとする人々の疲れや不安心を癒す一時を与えてくれたことだろう。

時の流れとともに道はいろいろな姿に変わってゆく。消えてゆく道、自然にかえる道、違ったものに姿を変える道、より大きく立派になっていく道・・など様々。自然の力によって変わっていくこともあれば、人の力によって変わっていくこともある。今後この道はどのように変わっていくのだろう、など考えながら峠からの風景を味わうものの、その現実的な風景を見ると浸りきることは難しかったりする。









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【2009/10/11 01:06】 | 林道 | page top↑
#190 寒風麻生林道(滋賀県高島市)を走る
~寒風麻生林道(滋賀県高島市)を走る~






久しぶりに滋賀県高島市の寒風麻生林道を訪れた。この林道は国道303号線沿いの北側起点から見ると、寒風川沿いに南下し、廃村『小原谷』への分岐を越えた後に一旦『椋川』集落へ出る。そして福井側の山に向かった後に再び林道へと入り、峠を越えて『横谷』集落の南側起点へと至る。途中いくつかの集落を通るせいか、あまり一つの林道としてのイメージが持てない。そのせいか、それぞれの起点から椋川まで走ることがあっても、全線を一度に走ることはあまりなく、本当に久しぶりの全線走行となった。

林道は、R303起点から『小原谷』分岐手前あたりと横谷の手前の峠付近に一部未舗装が残っている。多くを舗装路が占めているのであるが、そのイメージは決して穏やかとはいえない。横谷~峠~集落~椋川~小原谷分岐あたりまでは、落石はあっても走りやすい爽快林道なのであるが、そこから以北の国道303号線起点までの荒れ様がかなりものなのだ。落石量も大変多い。何度訪れてもかなりの荒れようというところをみると、そこはそういう所なのかもしれない。何度も引き返そうという思いがわいてくる、そういう難所を持った林道なのである。





荒れた箇所は最後の最後に持ってきた方がよいということで、この日は横谷集落から入り、椋川を経て国道303号線に出ることにした。以前、横谷集落の方にいろいろお話をうかがったことを思い出す。ここも昔は土砂災害に襲われて大きな被害が出たという。今その集落横を流れる川を見るが、とてもそんな感じはしない。この日も暑い日差しの中ではあったが、村は穏やかでとても静かな雰囲気。しかし穏やかな表情が一変して住民に襲いかかる自然の恐ろしさを、ここの人たちは身をもって体験されている。そういえば、このような話は奥深い山村など行くとけっこう聞く。こういった地に住まわれている方の多くは、自然の恐ろしさを身を持って体験をされている、ということなのかもしれない。

峠を越えると、やがて集落に出る。旧地名で言うと、朽木村から山を越えて今津町に入るという感じだ。今このあたりは水田の稲の緑があたり一面に広がり、美しい田園風景を見せてくれている。真夏の日中ということもあるのか、人の姿はほとんどみかけないが、きれいに手入れされた田んぼや家屋を見ると、そこに人の存在を強く感じる。そのへんが、人が住まなくなった村の風景とは大きく違うところだ。やがて椋川の美しい茅葺き家屋が見えてくる。以前掲示板でお知らせいただいたように、この家屋の屋根は最近葺き替えられたようで、真新しく光っている。まさに山里!という風景に思わず車を停める。





椋川の写真を数枚撮影した後、再び車を走らせ寒風川沿いを北に向かう。舗装路にも少しずつ落石が目立ち初め「であいこ橋」に着く。ここの分岐の福井側に向かう支線を行くと廃村『小原谷』だ。せっかくなので少し様子を見に行く。ここではもう家屋の姿が見れなくなって久しいが、今も倒壊した家屋の柱や水回りのコンクリなどを見ることができる。林道から谷に降りようと思ったが、この時期は雑草に覆われ危険が多く断念する。以前、谷に降りた時、突然すぐ横の藪から大きなガサガサという音が聞こえて、大慌てでその場から逃げ出したのを思い出す。この日も上の林道から見ていると、突然家屋のあったあたりの藪から大きな音がして何ものかが走り去った。姿が見えないところをみると、鹿のように体高のある獣ではないようだ。あの音の大きさ早さから考えると猪あたりかもしれない。視界の良い、雪の訪れる前あたりにゆっくりと散策したいなぁ、など考えながら本線に戻る。





落石が非常に多くなり、石の大きさもバラエティに富んでくる。石をどけようと車から降りると猛烈な異臭がする。谷底を見ると何かに大きな猛禽類の鳥がとまっている。写真を撮ろうとすると鳥は飛び去ってしまったが、そこには大きな死肉が横たわっていた。望遠レンズで見ると、何か赤い肉塊が見え大量のハエがたかっている。肉塊の端には大きな角が見える。鹿だ。どうやって死んだのかはわからないが、多くの生き物たちの餌に変わり果てた鹿の姿がそこにはあった。肉塊のある谷底まではけっこうな距離であるが、それでも悪臭はかなり強く臭う。残酷なように見えるが、自然の中においては、死んで餌となり腐敗して土に還るという単純なことなのかもしれない。





さらに進むと落石の数もどんどん増えてくる。以前リタイアしたのはこの辺か?など思いながら車を走らせる。それにしても多い落石、そしてどの落石も鋭く尖っている。右は落ちてくる崖,左は落ちてゆく崖、何とも荒々しい。それに加えて、川向こうに見える採石場の風景も強烈で、あたりの荒々しい雰囲気を何倍にもしてくれている。削られた山肌に九十九折りに道がつけられ、そこを大型ダンプが粉塵を巻き上げて豪快に走り抜けていく。思わず見上げる。あんな所を一度でもいいから走ってみたい、などと誰もが思うような光景。しかしそんな向こう岸の風景に見とれていると足下に危険がせまる。小さな落石でも走り様によってはタイヤを切り裂く。舗装路の落石は、踏んだ衝撃がクッション無くタイヤに伝わるため未舗装路の落石より怖い。大変神経を使うところである。

ようやく難所地帯を抜けて上りの未舗装路になりホッとする。ふと横を見ると砂防壁の水たまりに見事な鹿の頭骨。しかも角が二本ともついている。思わず水たまりから引き上げ林道横に置き、しばらく眺める。特に意味はないのだが・・。先ほどの肉塊といい、この頭骨といい、自然の厳しさとはかなさ、そしてあっけなさを感じたりする。頭骨に別れを告げた後、やや開けた所に車を停めて遅めの昼食をとる。眼下には国道が見え、林道出口となる国道303号線起点がもうすぐだということがわかる。そして未舗装路を下ると、程なくして見えてくる北側起点。久しぶりの全線走行、何か微妙な感じがするが少しだけの充実感を感じさせてくれた





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【2009/08/27 04:58】 | 林道 | page top↑
#185 ミノガ峠(林道御池線)からの林道
~ミノガ峠(林道御池線)からの林道~





滋賀県の多賀町と旧・永源寺町の山間部を走る林道御池線が全線舗装されてもうかなりの年数になる。そのためこの林道を訪れることはほとんどなくなってしまったのだが、先日久しぶりに訪れてみた。というのも、5年程前に訪れた時に見つけた、林道途中にあるミノガ峠から延びる未舗装の支線林道が気になっていたからだ。その時は残念ながら倒木のため通行不能となって引き返したのであるが、その後も、あの先はどうなっていたのだろう、もしかしたら延長されてどこかに通じているのかもしれない、いや舗装されてしまったか・・などと、けっこう気になっていたのである。

今回は旧・永源寺町の『君ヶ畑』方面から入ることにした。途中、今年の3月で134年の歴史を閉じ閉校となった政所小学校に立ち寄り、少しだけ写真撮影。子どもたちの姿が消えて間もないせいか、廃校という感じはまだまだしない。ただ名物?だったイワナの養殖池に水が無く空っぽとなっているところに、もうこの学校は動いていない、という現実を確認する。2004年の政所中学校、そしてこの春の政所小学校といずれも閉校となり、ついにこの地域から学校は姿を消すこととなった。地域から学校が消えるという教育環境の変化は、学齢期の子どもを持つ家庭にとってはまことに深刻な問題であり、地域の過疎化に拍車がかかるのも自然の流れなのか。




君ヶ畑の林道起点から林道御池線に入り、ミノガ峠まで一気に走る。途中、支線の瀬川林道の舗装化と支線入り口のゲートを見て時の流れを感じたりするが、車窓からモリアオガエルの卵を見て何かホッとした気分になる。とはいえ、この自然もいつまで見ることができるのだろう、など考えるとやはり悲観的になったりするのである。この日も何台もの大型オンロードバイクが爆音を鳴り響かせ林道を走り抜けていった。決して広くはない道の端に人の姿があろうとも、スピードを緩めることなく走るその姿に違和感がなくなってしまう時が来るとしたら、それは実に悲しむべきことなのだろう、など考えてしまう。

峠から早速林道に入る。未舗装で大変ワイルドな感じは、以前のまま変わりはない。尖った落石に覆われた路面がしばらく続き、気を使いながら車を走らせる。ふと前を見ると、山の斜面に一匹の鹿の姿。あちらからすると「珍しく車が走ってるなぁ」という感じなのだろうか、相手も立ち止まってじっとこちらを見ている。鹿の姿はよく見るが、大抵が逃げてゆく後ろ姿ということが多く、これまでほとんど写真撮影ができていない。チャンスとばかりに車を降りて写真を撮る。林業や畑をする人たちにとって、鹿は大変な害獣だという。そして近年その数も増加していると聞く。この日もわずか数時間の間に鹿の群れを何度か目にしたところを見ると、この地域にもかなりの数が生息しているように思える。おそらく植林された杉の木などへの被害も少なくないはずだ。




5年前の訪問時に倒木で通れなくなっていた所を過ぎて、ワイルドな林道は標高を上げてやがてひらけてくる。しかし残念ながらガスがかかっており,この日はほとんど下界を見ることができない。それでもわずかな晴れ間を見つけては写真撮影をする。さらに先へ進み、ピークを過ぎて下りになる頃からワイルドな様相は姿を消し、けっこう踏みしめられた路面へと変わってゆく。程なくして道は突き当たり、左右二手に分かれる分岐へと行きつく。この日はどちらも行ってみた。左へ行くと林業の作業用の行き止まりの林道で景色は大変開けたものだったが、ここもやはりガスが多く、下界を見下ろすことはほとんどできない。分岐店まで引き返し今度は右の道を行ってみる。とてもよく踏み締められた、昔からある林道といった感じだ。こちらの道は、そのままどんどん標高を下げていき、しばらく走ると『大杉』集落に行き着いた。おそらく以前は山仕事に入るのに、この『大杉』集落からの林道が使われており、それが後になって林道御池線とミノガ峠線でつながったということなのだろう。

この林道周辺は今も植林,伐採など積極的に林業が行われている。植えられたばかりの苗木、伐採されて禿げ上がった山の斜面、伐採された材木を運搬するケーブル等々の風景から、間違いなく活発な林業用道路ということがわかる。訪れたこの日は休日だったので林業関係の車とは全く出合うことはなかったが、おそらく平日などは作業用のトラックが入っていることだろう。平日の‘趣味の走行’をする際は、林業仕事の邪魔にならぬよう十分に注意をしなければ、などと感じたりもするが、それ以上に何か場違いな所に来てしまった恥ずかしさ、申し訳なさ、そんなことを感じたりもするのである。









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【2009/06/17 21:52】 | 林道 | page top↑
#164 小入谷林道を味わう
~小入谷林道を味わう~






「秋!」という字を使うには、まだ気が引ける感じのする秋晴れのある日、私の大好きな林道‘小入谷林道(林道小入谷線)’を訪れた。滋賀県に残る数少ない、峠越えの未舗装林道だ。ここ20年程の間だけを見ても、多くの未舗装林道が次々と舗装されて姿を変えている。これを時代の流れというだけでは何とも割り切れない感じがしてしまう。そうした中、今なおダートを味わえる小入谷林道は、本当に貴重な存在なのである。

訪れたこの日は3連休ということもあり、林道起点までの道はいつもと比べると車が多い。山間部の細い道にキャンプ、釣り、川遊び、帰省、ドライブなど様々な目的の車が入ってきていて、離合困難な場所では待たされることも多い。その混雑からようやく解放され、滋賀県側の起点となる『小入(おにゅう)谷』の集落に着いた時はちょうど昼。もう少し早く出たら良かったなぁ‥など思うのはいつものパターンだ。

集落のある小入谷から見上げると、山肌に林道が通っているのがわかる。それはまるで山肌につけられた傷跡のようにも見える。これも自然破壊か‥。そこを排気ガスをまき散らして走る自分はもっと自然破壊。今の人間は、存在自体が自然破壊‥などなど考えるときりがなくなってしまうので、素直に控えめに林道走行を楽しませてもらうことにする。そういえば林道のビューポイントからもこの集落あたりが見えるなぁ、など思いながら起点をスタートした。

この林道を走って期待外れだったことは一度もない。走り慣れた所であるのに、風景が四季折々とても新鮮に感じるのである。また天候によっても雰囲気が大きく変わる。真夏とは違った木々の緑には、少しばかりの秋の色を感じる。標高を上げるにつれて開放的な風景になり、白い雲のある青空が何とも爽やかに広がってくる。春に見られるような花は見ることはできなかったが、この日は風に乗って舞う植物の種を運ぶ綿毛が美しく林道の風景を作っていた。何度もビューポイントに車を止めて、林道からの風景を思いっきり味わう。先ほど下から見た小入谷の集落が下界に見える。そこに向かってクネクネとのびる林道も、いかにも林道らしい風景。日頃のストレスは、これだけでも一気に吹き飛んでしまう。本当に来てよかったと感じる至福の一時なのである。

一部路面の荒れているような所もあるが、注意深く走れば十分に普通車でも走行できるので、自然を味わいに入ってくる車も少なくない。下界を見下ろしていると、普通車がゆっくりと上がってくるのが見えた。実に慎重な運転は、引き返すタイミングをうかがっている感じがする。また途中の祠では、腰を下ろしてのんびりと休憩する人の姿もあった。オフロードバイクの姿はこういう所では珍しくないのだが、なんとカブで林道走行する人の姿も見ることができた。ゆっくりとガタガタの坂道を上ってゆくその姿が、何とも優雅に見えてしまうのもこの林道ならではという感じがする。さらに驚いたのが、走って林道を下ってゆく人がいたことである。リュックを背負って休み無く走る姿は、思わず見とれてしまう程のスピード。福井県から峠を越えてきたのだろうか、全くペースを乱すことなく未舗装路を駆け下りてゆく二人は、あっという間に視界から消えていった。不健康な私には考えられないことで、ただただ驚くばかり。もちろん普通のハイキングのグループとも出会った。峠ではオフロードバイクに乗った年配の方が、のんびりと休憩している。そこに普通車が現れる。降りてきたのは年配の方のグループで、楽しそうに峠の碑の前で記念写真。ワイワイと本当に楽しそうだ。これらの、いつもとはちょっと違う林道の風景、人それぞれの思いを持ってこの林道を訪れているということを改めて感じたりする。

この日、小入谷林道で様々な人の姿を見た。さすが秋の三連休といった感じだが、それぞれがそれぞれの形で秋を、林道を、そして自然を楽しみ味わっているということがよくわかった。もちろん自分もその内の一人。こういった場があることに感謝するとともに、この先も長く、多くの人が自然を楽しみ味わえる場でいてくれることをただ願うのである。









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【2008/09/16 22:30】 | 林道 | page top↑
#156 林道からの風景(林道国見線)
~林道からの風景(林道国見線)~

伊吹山の北に位置する国見峠(標高839m)、そこを頂点にして滋賀県と岐阜県を結ぶのが『林道国見線』。ここを初めて訪れた時に、幸運にも熊と出会うことができたということで、私にとっては大変思い出深い林道だ。しかしこの時は、落石や当時の車事情などで、峠まで行くことができなかった。この林道、滋賀県側からのアプローチに関してはどうも私とは相性が悪いようで、その後何度訪れても工事中で入れなかったり、通行止めになっていたりして拒絶されてしまう。結局初めて峠まで行けたのは岐阜県側からのアプローチで、この時も峠を滋賀県側に下って程なくして盛り土の為通行できなくなっており、岐阜県側へ引き返し、滋賀県側には嫌われることとなってしまった。それ以降も、なんとか滋賀県側からのダート道で峠に到達したいと思っていたのだが、時の流れとともに遂に全面舗装工事が始まってしまい、かなわぬこととなってしまう。工事終了の情報も入ってはいたのだが、全面舗装路に今ひとつ関心がわかずに、ずっと手つかず状態となっていたのである。

訪れたのは夏の日差しの強いある日、もちろん全面舗装は覚悟の上のことだった。姉川の支流の足俣川が合流するあたりが、林道起点へのアプローチの始まりとなる。青々とした稲の葉が伸び、それが風に揺れて波打つのが実に美しいのどかな山村風景がそこには広がっている。水田の周りには獣除けの電線がはられており、狭い道であるので走行にも気を遣う。1,5車線の舗装路は田を抜け、川沿いの道へと変わり、やがて川を谷の下へと追いやった頃に林道を示す看板に出合う。ずいぶんといたんでいる看板だが、まだまだ現役のようだ。そしてここらから勾配が強くなり標高を上げてゆく。

林道へ行く時の楽しみの一つに、そこに咲く花を見ることがある。この日印象的だったのが、濃い緑の中にポツンと咲いている紫陽花、そしてこの時期よく見ることのできる合歓の木の花だった。山で見る紫陽花はガクアジサイが多いのだが、ここではごく一般に見る‘普通の紫陽花’が咲いていた。鮮やかな緑の中で、青い花がやけに目立って美しい。また、赤から白へのグラデーションの美しい合歓木の花、この日は標高を上げるまではけっこう見ることができ、心なごませてくれた。せっかくなので写真におさめようと思うのだが、風がその繊細な花びらを揺らしてしまう為うまく撮ることができない。しばらく待つが風は花を揺らし続ける。仕方ないと撮影を諦めると風が止む、それならと再び撮影しようとするとまた風が吹く、ということを何度か繰り返す。このように写真撮影の時は少々うとましく感じてしまう風であったが、撮影を離れて木陰に入った時には何とも心地よい涼を与えてくれ、心地よくしてくれるのだった。

標高を上げてゆくと視界が開け、この日一番楽しみにしていた‘裏伊吹’が見えてきた。季節のせいか、かなり霞んでしまっているが、周囲の山々から抜き出たその姿はやはり美しい。霞がかかっているとはいえ、頂上の碑やドライブウェイを走る車の姿もはっきりと見ることができる。伊吹山を主人公としたその広がる山々の景色を独り占めにしながらのんびり昼食をとることにする。間違いなくこの日の最高の贅沢であった。時折車やバイクが通るが、あたりは本当に静かなままに時が流れてゆき、しばしの間、その心地よい雰囲気に思いっきり浸ることができた。

全面舗装された林道国見線、道を走る楽しみは味わえないものの、その風景の美しさは健在で、この日も大いに心癒やされた。車を停めてゆっくりと林道を歩き、植物にふれ景色や自然を味わう。木陰で、林道で、峠で爽やかに風を感じる。日常のわずらわしいことが全て吹き飛んでしまいそうな、この至福の時を与えてくれることにひたすら感謝する。こんな時、普段はしかめっ面しかしない私のような人間でも、たぶん何とも嬉しそうな表情をしていることだろう。

道の先にはいろいろなものが待っている。そしてそれらのものは、いろいろなものを私たちに与えてくれる。そのことが心地よく、またいろいろな道を行きたくなってしまう、のである。











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【2008/07/14 06:31】 | 林道 | page top↑
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