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#98 廃校の桜
~廃校の桜~

久しぶりに『カノン』というドラマのビデオを見た。手塚治虫さんの漫画をドラマ化したもので、だいぶ前に手塚治虫劇場という特番で放映されたものだ。原作とはかなり変えられているが、私はドラマの『カノン』の方が好きで、今でもよく見ている。緒方拳さん、谷啓さんが実に素晴らしい演技をしており、本当に感動ものである。そしてこのドラマは大変美しい木造校舎が舞台となっており、私の木造校舎訪問の原点ともなっているのである。

そのドラマを見たら無性に木造校舎が見たくなり、早速その翌日、ある木造校舎を訪れた。その木造校舎は何となく『カノン』に出てくる木造校舎と建物の雰囲気が似ている。かつては分校として子どもたちの学びの場であったが、すでに廃校となって久しく、もう子どもたちの元気な声が聞こえることは無い。それでもこの校舎、小さな山村ではとても大事にされているようで、今でも非常に美しく保たれている。久しぶりに訪れたこの木造校舎、道を隔てた空き地に何やら工事車両が数台とまっている。一瞬悪い予感がした。「まさか、取り壊し!?」しかしよく見ると、工事は校舎裏に何かのアンテナを建てる工事で、おそれていた取り壊し工事ではなかった。ホッとする。

早速写真を撮る。久しぶりに見るこの校舎、以前と変わらずとても美しい。校舎の外壁の様子や形が、やはりあの『カノン』の木造校舎と似ている。黙々と撮影を続ける。以前の訪問では気にもとめなかったのだが、小さな校庭には桜の木が植えられている。ずっと昔の入学式の頃には、桜の花を見ながら小さな可愛らしい新入生たちが親に手をひかれ、笑顔でこの桜の木の下を歩いたことだろう。そして桜の下の石段あたりには門柱もあったはず。しかし今はもうその姿を見ることはできず、桜と石段のみが残る。

どこからかチャイムが聞こえてきた。お昼のチャイムだ。この校舎からもう鳴るはずはない。きっと山の下の学校からだろう。しかしやけに大きく聞こえるなぁ・・やっぱりこの村からかなぁ、など考えながらもひたすら撮影を続ける。するとしばらくして遠くから「桜の咲く時やったらええのに・・」という声がかすかに聞こえてきた。校舎横でお昼の弁当を食べ始めた工事のオッチャンたちの会話の声だ。どうやらずっと写真撮影をしている私に向けられたことばのようである。冬の寒々とした中、しゃがみこんだり、はいつくばったりして山奥の古い建物の写真をひたすら撮り続ける姿が奇異に映ったのだろう。「桜の花かぁ・・、それよりもこの古ぼけた校舎の方ががきれいだから」と心の中でことばを返す。

しかしこのことばとともに、桜の花が咲くこの老いた校舎の風景をイメージしてみた。すると・・「!!」

心の中で先ほどの自分のことばをあわてて訂正する。桜の咲き誇った時のこの小さな木造校舎、それは実に美しい光景。山村の春、美しく咲く桜の木の向こうに見える古き木造校舎。村の人たちに今なお大事にされているこの木造校舎とそれを彩る桜の花、これはもう最高の春の風景!最高の山村の風景!だ。そして私の中で、その風景が鮮明に映像となる。

帰りの車中でも、その時のことをしばし振り返る。あの工事のオッチャンたちはきっと地元の出身で、春のあの校舎の風景を今まで何度も見ていたのではなかったか・・。ひょっとしてあの学校の出身だったのかも・・などなど勝手に想像する。そうすると「話をきいてみたらよかったなぁ・・」などと少し後悔。

きっとここの村の人たちは毎年、春の美しい風景を見ているはず。もう何十回と見てるはず。厳しい冬の後だけに、よけいに温かさを感じる風景。それを思うと、私の中の山村への思いはますますつのってゆくのである。








http://www.geocities.jp/kondodoraibuiko_ne021/index.html
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【2007/02/18 00:00】 | 木造校舎・廃校 | page top↑
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