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#126 出郷橋と土倉橋
~出郷橋と土倉橋~


出郷橋(でごばし)。土倉鉱山跡へ向かう林道の入り口付近、‘土倉出郷’にかかる橋だ。コンクリート部が苔むし古びてはいるものの、国道(R303)の橋として今も現役で活躍中。それどころか、滋賀県木之本町と岐阜県坂内を結ぶ八草トンネルが開通してからというもの、交通量は以前より増えている状況。といっても元々が少ない交通量ではあるのだが‥。訪れたこの日は休みの日ということもあって、ドライブと思われる車やバイクがけっこう頻繁に橋の上を行き交っていた。見ると大部分が岐阜方面からの車。この出郷橋、冬場は積雪で通行止めとなるものの、それ以外の期間はけっこう橋として忙しくしているようである。

かつてこのあたりは、土倉鉱山で働く鉱夫たちやその家族、関係者たちなどで大いなるにぎわいを見せていた。学校はもちろん映画館や銭湯もあったという。集落もいくつかの地区に分かれ、小さいながらも一つの‘鉱山町’を作っていたのだった。しかし昭和40年の閉山以降、街からは全ての人々が姿を消し、かつての賑やかさがまるで嘘かのように、周辺は静寂に包まれることとなった。町は廃墟となったのだ。何時間もかかる峠越えのくねくね道。崩落や、そのための工事で日常茶飯事となった通行止め。車一台が何とか通れるような狭い道に弱い路肩。たとえ国道であっても、そんな道を好んで通る車はほとんどなく、時折思い出したかのように峠を越えをする車のエンジン音が静寂を破るだけ‥そんな状況が長らく続いたのだった。

そうして十年二十年と年月が流れた後、再びこの地が賑やかになる。その音の主はトンネル工事用のダンプや重機、そして行き交う工事関係車両。山を拓き道をつける。山を削りトンネルを通す。大工事が始まったのである。

今この地域、大きく変わろうとしている。八草トンネルの完成に引き続き、平成20年にはそれにつながる立派なバイパス道も開通する。バイパスとなる巨大な橋は既に完成し、巨人の足のようなコンクリート製の橋脚がこの地に根を下ろし、かつての鉱夫の町を見おろす。いったい何メートルの高さがあるのだろう、上から見ると目眩がして思わず引き込まれそうになる程の橋の高さ。出郷集落の上あたりにかかる橋は‘土倉橋’という。今後はこの橋が土倉周辺の顔となるのだろうか。その橋から山間部を見ると、遠くの木々の中に土倉鉱山選鉱場跡がわずかに見える。しかし車で走行している限りよほど注意しないと気がつくことはない。また、この巨大な橋脚の足元には、伊勢湾台風時に土砂崩れ災害の犠牲となった多くの方の魂が静かに眠っている。しかし、そんなことなど無関係とばかりの巨大な圧力を、周りの風景とはかけ離れたこの橋からは感じてしまったりもする。

R303の現役の橋、苔むした‘出郷橋’はやがて‘国道の橋’としての役目を終えるだろう。そして新たに‘土倉橋’がR303の橋として土倉を語ることになる。しかしこの真新しい巨大なコンクリート製の土倉橋に、かつての土倉を語れと言うのは何とも無理な話。選鉱場跡ばかりが目立って関心を集める土倉鉱山跡。しかしその周囲には多くの生活があり、今なおわずかではあるが、それらの痕跡も残されている。間違いなくその地には人々の笑いがあり、涙があり、多くのドラマがあった。いかに年月が流れ、姿形が変わろうとも、ここがかつての住民の大切な故郷であることに変わることはない。そのことをささやかに伝える出郷橋、そして人々の生活の痕跡、涙の跡。巨大な橋に押しつぶされてしまいそうになりながらも、今なおきっちりとそのことを伝えてくれることを嬉しく感じたりする。








http://www.geocities.jp/kondodoraibuiko_ne021/index.html
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【2007/09/10 21:39】 | 滋賀県山村・廃村・自然 | page top↑
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