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#15 背駄とリヤカー
~背駄とリヤカー~

山間の、ある集落に向かう急な上り坂の林道の入り口附近、そこにずっと前から古びた小さな二つの倉庫があった。三角屋根の木製のものである。周りには家屋などない。「なぜこんな所に倉庫があるんだろう?」と、以前から何となく気にはなっていたものの、いつも車で通り過ぎるだけだった。この春、そこを訪れてみると、手前の方の倉庫の戸板が外れて倒れており、中が見える状態になっていた。なぜ倒れてしまったのだろう、など思いながら近づいて倉庫をのぞいてみると・・・。

この林道の終点となる集落は、人が住まなくなって久しい。三十年はたっている。林道ができたのも十数年前である。それまで人々は細い山道を歩き、全ての物資を「背駄」で担いで上げおろししていた。急な山道を何十キロの炭を背負って下る。そして麓からはリヤカーに乗せて、川沿いのガタガタ道を通って町まで運ぶ。炭を売って得たお金で生活用品を買い込み、来た道を戻る。また山道を背駄で荷物を担いで登ってゆく。
そんな生活の為の大事な道具、「背駄」や「リヤカー」をおさめておくための倉庫だったのである。

しかしいつしか人々は村を去り、もう背駄やリヤカーは使われることはなくなった。最後に使われたままこの倉庫で眠り続け何十年もの月日が過ぎたことだろう。その間、主を失った村の家屋は朽ち果ててゆくが、麓の倉庫はずっと形を保ち続けた。しかしこの倉庫ももう限界。倉庫の機能を果たせなくなってきたのだ。人々のかつての生活のにおいを残して、やがて訪れる最後の時を待つだけなのかもしれない。「何の為に、誰のために何十年も中味を守り続けたのだろう」なんて文句を言うこともなく・・。
使われることのない中味を、何十年間も守り続けた小さな倉庫。「せめてその最後の時くらい静かにさせてほしい」という声が聞こえるような気がする。そんな倉庫の中の小さな風景であった。。





http://www.geocities.jp/kondodoraibuiko_ne021/index.html
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【2005/05/21 00:00】 | 滋賀県山村・廃村・自然 | page top↑
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