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#151 春をふり返る
~春をふり返る~

赤やオレンジなどの色鮮やかな紅葉の秋が終わると、山の色は一気に彩度を落とし、冬枯れの地味な色へと変わる。そして冬の深まりとともに降り積もる雪は、それら地味な色の風景を覆い隠し、最も明度の高い雪の白い風景を作りだす。しかしその時期の空の多くが雲に覆われた薄暗い雪空、そのため光量が十分でなく、明るいというイメージはあまり感じない。静かなモノトーンの風景といったほうがしっくりくるのである。

やがて春が近くなると雪も融け始め、長い冬の間隠れていた地面が顔を出し、枯れていた植物からもみずみずしい緑が現れ始める。下界から少しばかり遅れての、山村の春の到来なのである。そして来る本格的な春。この時期は私にとって本当に楽しみな時期だ。そんな‘春’をふり返ってみた。

廃村『小原』には水仙の花が咲き乱れていた。人がいた頃は庭に植えられていたものなのだろうが、それがどんどん拡がり、今では隣家をつないでいたであろう斜面にまで咲き広がる。斜面の下から見上げると、青い空をバックに、何とも生き生きした姿に見える。よく見ないと見落としてしまいそうだが、水仙にまじって、春の定番ツクシの姿も見える。また桜の木も静かに控えめであるが、桃色や白色の花をつけて廃村の春を彩っている。近づいてみると一つ一つの花が実にかわいらしく美しい。『小原』の象徴である半鐘の支柱、それにその下にある井戸跡は今も健在で、変わることなく透明の水を流し続けている。そこの溜りに見た小ぶりのイモリも印象的だった。

廃村『奥川並』では、以前にもこのコーナーで紹介した桜の他に、緑鮮やかなシダ植物の葉、そして名前はわからないがたくさんの小さな黄色い花をつけた植物も集落のあちこちで見ることができた。林道脇の川の、勢いよく流れる雪融け水の流れも大いに春を感じさせてくれる。ふと水たまりを見ると、クネクネとした何か透明の不思議なものがある。両生類の卵だ。何の種類なのかはわからない。雨が降ったからできたと思われる道端の水たまりだから、晴天が続けばすぐにでも枯れてしまいそう。車が通ったら轢かれてつぶれてしまいそう。こんな水たまりに産みつけて大丈夫なのだろうか、など心配になる。しかしこれもほとんど人の来ない廃村ならでは、といったところか。

この春訪れたいくつかの山村や廃村、それぞれの場所でそれぞれの春を感じさせてもらった。整備された公園の花や観光地などの桜並木にあるような豪華さは全く無いのだが、このように山で普通に春を告げる植物たちは実にみずみずしく美しい。長く厳しい冬をじっと耐えてきた多くの命が、待ちに待って一気に吹き出す、そんな感じだ。どこを見ても、春!春!春!そしてこれら春を演出する植物たちを、じつに愛しく感じたりする。主をなくしても元気に咲き続ける花のたくましさを感じたりもする。その多くがよく見ないと見過ごしてしまいそうなものであるが、これらを満喫できることを本当に幸せに感じ、この先も見続けられることを願うのである。














http://www.geocities.jp/kondodoraibuiko_ne021/index.html
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【2008/05/28 14:46】 | 滋賀県山村・廃村・自然 | page top↑
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