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#68 ある集落にて
~ある集落にて~

この集落に住んでおられた最後の一人が住民票を移され、昨年ついにこの地は住民数ゼロの村となった。廃村である。しかし冬場以外はその方も帰ってきておられるようで、この日も姿を見かけることは無かったものの、明らかに家にはおられる様子だった。その方の飼い犬だろうか、白い犬が吼えながら近づいてきて私を威嚇する。

今ではほとんど人を見かけることのないこの集落、かつてはセメント鉱山が近くにあり、この集落にも社宅、寮などがあった。最盛時には居酒屋なども集落内にあり、仕事帰りの工夫たちで大いに賑わっていたそうだ。村の子どもたちは、お金を払って寮の大きなお風呂に入りに行ったりするのが楽しみだったという。雑草に覆われ、荒れ放題となった今の風景からは全く想像がつかない。
ふと目をやると一軒の崩れかけた老家屋。壁板には崩れまいと必死になって支える支柱が何本も立てかけられている。確かにこの支柱、壁が倒れるのは防いでいる。しかしトタンで覆われた大きな茅葺の屋根が崩れることまでは防げない。崩れ落ちた屋根の重みが壁や柱にのしかかり、押し倒そうとする。それでも何とか倒れまいとしている老家屋に、支柱にこめられた家主の思いを感じる。

この老家屋には長い歴史があり、多くの人間ドラマがあったことだろう。しかしこの集落にはもっと長い歴史があり、何十、何百倍ものドラマがあったはず。崩れ落ちようとする家屋を何とか支える支柱、全ての人が去った後も集落に最後まで住み続ける人、何か共通のものを感じてしまう。
長き歴史を人知れず、そして静かに終えようとしている小さな集落が、今ここに一つ。








http://www.geocities.jp/kondodoraibuiko_ne021/index.html
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【2006/07/09 00:00】 | 滋賀県山村・廃村・自然 | page top↑
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