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#83 続・峠をまもる一軒家
~続・峠をまもる一軒家~

山で出会う一番危険な動物といえば「熊」という答えが一般的だが、実際に出合う確率が高く、一番戦闘的で注意しなければならない動物といえば「猪」、というのはよく聞く話。しかも子連れの母猪となると危険度は極めて高い。できれば出合いたくないものだ。

その子連れ猪との視殺戦の話である。

いつも生活を共にしている犬たちの、けたたましく鳴く声が家屋裏の山道から聞こえてきた。その異常な鳴き声から、普通の状況でないことはすぐにわかる。そして山道から逃げるようにして帰ってきた犬たちの後ろには、大きな猪・・そして横にはウリ坊。この家屋のご主人はすぐに鍬を手にし、犬たちを守るべく立ちはだかる。大猪とのにらみ合いが始まる。視殺戦の開始だ。戦闘体制に入った猪の二本の牙が、今目の前にある。母猪も我が子を守るためには死も辞さない覚悟。僅かでも弱気を見せれば、本能的に猪は襲い掛かってくるだろう。視殺戦をする主人の後ろで犬たちも吼え、威嚇する。人の武器である鍬の届く範囲内に、決して入ってこない大猪。間合い合戦である。その間も視線をそらすことのない両者。しばし続いた視殺戦。周囲に緊張感がはりつめる。しかしやがて猪は視線をはずし山へ帰ろうとする。犬たちがあとを追いかける。

これで緊張がとけたかに思えた。しかし再び、けたたましく吼える犬たちの声。そして山道を、威嚇する犬たちを蹴散らして興奮しきった大猪が戻ってきた。一度は戦いをやめた大猪だが、犬たちに追われることで危機感を感じたか、プライドが傷つけられたのか・・。そして再び始まる人との視殺戦。人は唯一の武器である鍬の柄を猪の鼻先に突きつけ、向かってくるなら突いてやる!と身構える。共に体を張った戦いだ。
しかし二度目の刺殺戦でも、大猪は自ら視線をはずし山へ帰ることを選ぶ。人の気合が二度の視殺戦を制したのだ。こうして子連れ猪との危険な戦いは終わった。

これは 「たまに一言#75」で紹介させていただいた峠の一軒家に、先週再び訪れた時、そこのご主人からうかがった話だ。自然の厳しいこの峠で、茶屋番(関所のような役割も担っていた茶屋?)として何百年という歴史のある老家屋を今も守る。領地を争う戦いの時代もとうの昔に終わり、便利になった今の時代にこのような生活をしなければならない理由などどこにもない。それをさせるのはやはり「血」と「誇り」か・・。しかしそのことをうかがっても「どこも居心地悪かった。ここが一番ましだったからだけ」と、薄暗く炎の燃える囲炉裏の前で栗の皮をむきながら語るご主人。ちょっと・・、その答ってかっこ良すぎるのでは?・・なんて思い、一人うなる。まさに男の美学。

昔の風景のままの峠で、3匹の犬と1匹の真っ黒な子猫たちとともに歴史のつまった老家屋を今も守り続ける。この風景、おそらく日本全国ここでしか見られない風景・・。この時見た風景と焼き栗の味はずっと忘れそうにない。








http://www.geocities.jp/kondodoraibuiko_ne021/index.html
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【2006/10/22 00:00】 | 福井県山村・廃村・自然 | page top↑
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